「全てが有料な社会」を考えるが断念する

僕は割と初期からmixiをやっていたが、その頃はまだ招待制だった。
ある時取引先のお客さんから、「ボニーさんmixiってやってます?よければ招待しますよ」と言われ、本当は知らなかったのだが「ああ、例のやつですね是非お願いします」とお願いし入会してみた。

で、だ。
最初、あることが分からず非常にとまどった。
「これは、誰が儲かる仕組みなんだろう」ということだ。

近田春夫氏が「考えるヒット」でT.M.Revolutionを初めて知った時、「ベスト版か、コンピレーションか、とにかく〝小室哲哉にお金が入るシステム〟のことだと思った」と言っていたが、その時の僕は広告収入を見越したWebサービスというものがよく分かっていなかったのでmixiの運営主体の意図がよく分からず、「そうか、これは要するにテレビと同じ仕組みなんだ」ということに気が付くまで時間がかかった。

コンテンツを無料にすることによって集客する、というモデルは今やネットでもリアルでもいたる所で行われているわけだが、これは効率的なモデルなのだろうか?
(これだけ隆盛しているわけだし、きっとそうなんだろうが)
逆に、独禁法で規制するでも、もしくは「無料で何かを受け取るなんてありえねーよ」という風潮が蔓延しているでもいいが、全てが有料だったらどうなるだろうか。

ドリフのもしもシリーズみたいに、マックの店員のスマイル0円は違反なのでクルーは全員無表情、みたいなことをつらつら考えていたのであるが、やっぱり「サービス受領者全員から課金」という仕組みは効率が悪いなという結論に達した。

例えば、テレビ番組が視聴者からの課金制だったらどうなるだろう。
当然だが、番組を見た人ないし世帯から取りっぱぐれなく視聴料を徴収する仕組みを作らないといけない。

今現在テレビ局が成り立っているのは、視聴者から課金しなくてもスポンサー収入で番組制作が賄えているからだ(スポンサーも視聴者からの売り上げで会社が成り立っているわけだけれどもややこしくなるので置いておく)。
つまり課金の代行をスポンサーがしてくれているということになる。
番組を見ている人の中にはそのスポンサーの商品を全く買わないという人も当然いるわけで、視聴者課金制ならこれは番組のタダ見に相当するわけだが、そんな人の分もスポンサーは負担してくれているわけだ。
自前で課金のシステムを作って薄く広く徴収するより、スポンサーからの課金の方がはるかに効率がいい。
Webサービスも同様だ(こっちの方がまだ課金はやりやすい気もするが)。
極端に言えば、物販にしたってこの「別のところからの課金」があるのであれば無料でものを配ることだってできる。

ということで、無料サービス社会というのは課金ババ抜き社会であるのだな、という結論に達したのである。