身体感覚

かなり昔の話だが、鴻上尚史氏が「ドン・キホーテのピアス」というエッセイの中で、“身体感覚が希薄な人”のことについて触れていた。論旨の詳細はもう忘れてしまったのだけど、とりあえず人ごみを歩いていて人とぶつからずにすれ違うことができないような人を例として挙げていたのは記憶に残っている(あと、マッサージの下手なマッサージ師が増えた、とも言っていた気がする)。
これを読んでいた当時は僕もまだ若者といわれる年齢だった筈だが、氏の言いたいことはなんとなく分かった。

人とぶつからないように歩くというのは、空間の中で物体(自分や他人)が占める位置を把握・推測する能力だろう。前からくる人は何秒後にこのあたりを通過して、自分の肩幅だと少し接触する危険性があるから左に避けようとか判断するわけだ。
この能力をつけるには「自分の身体を知る」以外の方法はないだろう。そして知るためには「使う」のが一番だ。
身体の稼働範囲は、年齢によって変わってくる(ソースは俺)。今まで当たらなかった人に今日は当たってしまう。飛び越えた筈の水溜りにはまってしまう。あり得ない段差でつまづいてしまう。こういったことを防ぐために日々身体を使って身体感覚を確認しておきましょう。