しあわせのかたち

「ドレミの歌」という歌がある。
映画「サウンドオブミュージック」の作中で歌われた曲で、日本でもよく知られている。
子どもの頃、歌の本などでこの曲を見かけるといつも気になることがあった。

子ども向けの本では、歌に関する挿絵が載っていることがあるのだが、この曲の場合、「ドはドーナツのド」など実際の歌詞にちなんでドーナツやレモンの絵が描かれていることがしばしばあった。
僕がいつも気になったのは「シは幸せよ」で描かれているものについてであった。
それぞれの本でいろいろなものが描かれていた。
憶えている限りでは、
・花(すずらんのような形)
・母親と子ども
・握手している手
・腕を胸の前で組むなんとも表現のできないポーズを取っている人(なんとなく意味は伝わるが)

この歌の歌詞の他のものは、“ファイト”が力こぶだったりとか一応はなんとか具象化できるものだが、“幸せ”は状態だし、多分に主観を含むので確かに難しい。
もちろん当時そこまで考えていたわけではない。単に挿絵を見て「この本では“幸せ”の絵は花なんだな」などと思っていただけだった。

前に「沖縄県は幸せ指数が高い県だ」という話を沖縄出身の人から聞いた。
その人も他の人からそれを聞いたそうで、言われた時に“でも、沖縄は全国一失業率も高いんだけどね…”との感想を持ったとのことだった。
どちらも本当の話だな、と思う。
その時も「シは幸せよ」の絵がいろいろなものだったことを思い出した。

今の僕なら何を書くだろう。
…布団かな。
寝る前の10数分のまどろみが一番の幸せなのだ。