大政奉還

大河ドラマ徳川慶喜」が放映されたのは1998年なので、もう10年以上前になる。モックン(僕らの世代はこう呼ぶ)が慶喜の才人ゆえのつかみどころの無さを好演していて、毎週楽しみに見ていた。

僕は小学生の社会の授業で慶喜を知ったが、小学校の歴史など幕末はサラッとしたもので「江戸時代が終わった。慶喜徳川幕府最後の将軍だった」程度の無味乾燥な内容しか学ばなかった。
きっとこの人は無能な人だったのだろうと思い込んでいた。

なので大河ドラマ翔ぶが如く」で西郷が?慶喜は家康以来の英傑だと聞く?というセリフを言っていたときに不思議に思ったものだった(この時の慶喜三田村邦彦だった)。

ドラマ「徳川慶喜」で強く印象に残っているシーンは、大政奉還の回だ。
慶喜は臣下に対し、
「政権を返上しろと言うならすればいい。今政権を渡されて困るのは朝廷の方ではないか」
と言い放った。
帝国主義という徳川歴代の為政者たちが経験したことのない外圧に対し、慶喜は見切りを付けた。それが正直なところだったのではないだろうか。
(「龍馬伝」の慶喜は強い葛藤を抱えていたが、そういった開き直りは描かれていなかった)

しかし「政権を返上して困るのはどっちだ?」という状況は現代の日本も同様だ。