いいことを言いたい

昔、ネスカフェのCMで緒形拳さんと奥田瑛二さんが出ているバージョンがあった。二人がアウトドアの星空の下でコーヒー片手にくつろいでいると、緒形拳さんが「なんかいいこと言いたくなっちゃうな〜」みたいなセリフを言って奥田瑛二さんが「恥ずかしいからやめてよ」と笑って止める、という内容だ。
CMを観た当時「いいことを言いたくなっちゃう」という気分の時ってあるよなあ、と僕もうなずいた記憶がある。

今日、twitter@Design_RT_jaというアカウントからフォローされた。
実は僕が数日前に見つけて先にフォローしたのだが、

デザインに関する素晴らしいつぶやきを、1日1回16時にランダムに公式RTするbotです。時代を共にする人達で作る、活きた名言集を目指しています。オススメのつぶやきがあれば追加させて頂きたいので、ぜひmentionでお知らせください!

という趣旨のアカウントである。

一応僕は業界の外の人に「何の仕事をしているんですか?」と聞かれたら「いや…印刷物とかWEBのデザインとか(ゴニョゴニョ」と答えることにしているれっきとした自称デザイナーなので、このアカウントをフォローすることは少しも間違ってはいない(はずだ)。
このアカウントのつぶやきはデザインそのものに関すること(感性の持ち方とか指向性とか)だけにとどまらず、コミュニケーションの重要性とかテクノロジーとのつきあい方とか、実に幅広い(そもそも、「デザイン」に関するつぶやきという趣旨なんだから話は狭義のデザインだけにとどまらないのはもっともな話なのだが)。
僕が要約するなどおこがましいので実際見てもらった方が早いだろう。

で、僕も緒形拳さんのように何かいいことを言いたくなったわけだ。考えたすえ、以下のつぶやきをした。

若い頃はとにかく「引き出しにたくさんものを入れること」さらに「引き出しの段数を増やすこと」を考えていた。引き出しの中を整理することは考えてなかった。でもそれでよかったのだと思う。経験とは、引き出しからの上手なものの取り出し方に他ならないのだから。

(このつぶやきが「いいこと」なのかの是非はまあ措くとして、)「引き出しを増やせ」というのは社会人一年目に上司に言われたことである。この言葉はその後の仕事にずいぶん影響を(いい方向に)与えたと思う。この言葉を聞いていなかったら、僕は(自分自身の中に)ありもしないオリジナリティみたいなものを探そうとしてもっと苦労していたかもしれない。振り返ってみるとそんなふうに思えてくる。
僕のようにデザインのイロハの「イ」も知らないで業界に入った人間には「自分の創造性なんてものがあると思うな」という一言で固定概念をフラットにしてやるのが一番効果的なのかもしれない。
(それにしても、関係ないけど、世の中から「書類」ってものがどんどんなくなっていってて、デスクの引き出しがクラウドに置き換わっていっているというのは何か暗示的で面白いな)

あと、前にデザインとは関係なしにちょっといいこと(本人的に)を言った。

twitter依存というのは自分が世界に対して埋没してしまうことの恐怖の表れなのだと思った。


直後にきたリプライがこれだ。

@bonnie_yt (´m`)へぇ〜w

まあ、結局僕の言う「いいこと」なんてこんなものだということです。

【告知】退職と移住に伴い福岡県で就職活動を始めています。土地勘があまり無いので(大学時代は小倉にいましたが)、アドバイス(気風、求人情報、おいしいラーメン屋さん)などいただければ幸いです。餞別なども絶賛受付中です。お気軽にTwitterまでご連絡ください。