思い出と、思い出の料理と
僕は、週末にはよく料理をする。普段ほとんど趣味の無い人間だが、料理をしていると色々なことを(その時だけは)忘れて没頭することができるので、気分転換にもなる。
あとは、喜んで食べてくれる人がいるというのも理由の一つだ。独身の頃もずっと自炊をしていてそれなりに楽しんで作っていたのだが(カレーの玉ねぎを一時間炒めたりとか)、やはり「誰かのために作る」というモチベーションにはかなわない。
いろいろなものを作るが、レシピを覚えているものはごくわずかだ(覚えているものも調味料の正確な分量まで覚えているわけでもない)。最近は、「今日はこれを作ろう」と思ったらまずスマートフォンでレシピを探し、あとはそれを手元において参照しながら作る。
まったく便利な世の中になったものである。
僕が一人暮らしで自炊を始めた頃は、まだインターネットは無かった。なので僕はレシピを知るために料理の本を買った。最初に買ったのはこの本だ。
塩田ミチルのセンスが光るかんたん料理 (マイ・ベストクッキング)
- 作者: 塩田ミチル
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1991/03
- メディア: 単行本
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(Amazonには写真が無かったので自分のを撮った)もう買って20年以上経つが、この本には本当にお世話になった。レシピだけでなく、野菜の切り方、下ごしらえの仕方、とりあえず必要なことはこれを見てやってみた。*1
先日作ったのもこの本で知ったレシピである。
「鶏肉のトマトソテー」
フライパンでバターを熱し、パン粉を炒める。こんがり焼いたらお皿に移しておく。
鶏胸肉(2枚)は厚さを半分になるように切る。(量も増えた気になるし)火が通りやすくなる。厚みを半分にした鶏肉に斜めに切り込みを入れ、厚みを均等にする。
適当に塩胡椒で下味を付け、皮を下にして焼く。
「いい感じ」に焼く。料理酒を入れ、ふたをして弱火〜中火でしばらく置く。
鶏肉に火が通ったらお皿に盛る。蒸し汁の残ったフライパンにケチャップ(トマトソースなら尚良し)を入れてソースを作る。
適当に付け合わせを作る。この日は玉ねぎとピーマンがあったので薄切りにして炒めた。
サラダスパゲティもあったので、追加した(バジルと塩で味付け)。
(子ども用に)鶏肉にチーズを載せ、トマトソースをかけて炒めたパン粉をかけてできあがり。
実はこれは、昔家内に初めて作った料理である。もう20年近く前のことだ。
その時は、「部屋が汚い」「お肉火通ってるの?」「サラダの野菜ちゃんと洗ったの?」などとさんざんなことを言われたものだ(何年か後に、あの時は自分も緊張していてそんなことを言ったと聞かされたのだが)。
食卓に並べて家内と子どもを呼ぶと、料理を見て家内が子どもに「これはね、パパがママに初めて作ってくれた料理なんだよ」と笑いながら教えていた。
照れくさかったので「そうだったっけ?」とごまかした。子どもも「美味しい」と言って食べていた。20年前は二人で食べ、今は同じものを三人で食べている。つくづく不思議なものだと思う。
明日(もう今日か)は11回目の結婚記念日である。たまにはこんな日記もいいか。
*1:引越しの際に数えたら、料理の本を10冊以上持っていた。