ヒトの現代的な適応

僕は夕方にはたいてい間食をする。最近はそうでもないが、数年前は甘いものを食べて血糖値を上げてないとよく低血糖の症状が出ていた(発汗や震えなど)。
当時気になったので低血糖について調べたら、色々興味深いことが分かった。

「人間は、というより生物は歴史的には現在の日本人のように「食べ過ぎてしまって困る」というような環境におかれたことはほとんどないものと考えられる。」(wikipedia
(→低血糖についての解説より)

調べたところ、人間は、飢餓−つまり低血糖状態−による死亡の危機を回避するため、四重のメカニズムを体内に持っているそうだ。
(血糖値が一定量以下になると血糖値を下げるホルモンの分泌が抑えられ、さらに下がると血糖値を上げるホルモンが大量に放出されるといった具合に)

逆に、食べ過ぎて血糖値が上昇してしまうことに対する防衛機構はほとんど備えていないそうだ。
これは、人間は、というより生物は歴史的に高血糖よりは低血糖による死亡(つまり餓死)の危機にさらされることのほうが多かったからだろう。進化の過程で血糖値低下に対する防御機構を備えるに至ったと考えれば納得がいく。
逆に言うと高血糖には備える必要がなかったのだ。
糖尿病が「現代病」とか「ぜいたく病」と言われたりするのはこのゆえんだろう。

アドレナリンのはたらきについても同じことを思う。

「交感神経が興奮した状態、すなわち「闘争か逃走か (fight-or-flight)」のホルモンと呼ばれる。動物が敵から身を守る、あるいは獲物を捕食する必要にせまられるなどといった状態に相当するストレス応答を、全身の器官に引き起こす。」(これもWikipedia

具体的には(以下抜粋)
・運動器官への血液供給増大を引き起こす反応
・心、肝、骨格筋の血管拡張
・皮膚、粘膜の血管収縮
・感覚器官の感度を上げる反応
・痛覚の麻痺
つまりアドレナリンは(攻撃、逃走に関わらず)四肢の動きを高め、さらに肉体が傷付くことに対応するため、体を一時的に変化させる役割を持っている。

紛争地域などはまた別かもしれないが、現代の社会でアドレナリンが本来の用途で必要になる場面は格段に減っているのだろう。あと何万年後かは分からないが、いずれ現代的な役割が何か追加されてもいいのではないかと思うのだ。
(それが何なのかは分からないけど)