元旦

僕にとって元旦は新年の始まりの日であると同時に、父の誕生日というもう一つの意味がある日だ。
その父ももう他界して7年になる。今日の朝いつものように父の遺影に手を合わせた時、今頃あちらで妹とお祝いをしているかもなとふと思った。
昨年はそんなことを考える余裕もなかったので、自分でも心境の変化に少し驚いた。
僕はもう何年も実家で元旦を迎えていなくて、今年も母とメールで年賀のあいさつをした。
母からは「元旦はお父さんの誕生日です。元気なら67歳、今頃あの子とお祝いしているかもね」とメールが来た。母も僕と同じことを考えていた。僕にも母にも、同じように時間が過ぎたのだ。

今日、初詣の帰りに梅ヶ枝餅の屋台があって、子供に「食べる?」と訊いたら「うん!」と言うので買ってみることにした。
10組くらいの行列ができていて、僕らも最後尾に並んだ。
非常に寒い。
僕は、一応新年ということでちょっと改まってジャケットを着てみた。
子供にも、以前妹がプレゼントしてくれたが大きくて似合わなかったジャケットを着せてみた。
サイズはぴったりで、ツイードで僕とお揃いのようだった。
寒くないかと時折訊くと、「大丈夫だよ」と笑って言っていた。
思えばこの神社にお宮参りに来てから、もう8年になる。そう考えると感慨深い。
今年はどんな年になるのだろう。
20分ぐらい待って、僕らの番がきた。お金を払って、子供に渡すと、「あったかいね」と嬉しそうに笑った。
車に戻ろうとしたら「パパ、見て」と子供が肘で後ろを指した。
そちらを見ると、さっきより大勢の人が並んでいた。

子供は「このおもち持って、“とったど〜!”って言ったらどうなるかな?」と言った。

成長したな、ほんとに、と苦笑して「それだけは駄目」と言った。
そんな元旦だった。