信じる、理由

「こびとづかん」を読んでいた子供が、「こびとって、いるのかなあ?」と訊いてきた。
「いないかもしれないけど、いるかもと思って暮らしたほうが楽しいと思うよ」と答えた。

子供は、「そっか」とだけ言ってまた本に戻った。

ちょっと思うところがあったので、「おばけっていると思う?」と訊いてみた。
子供は、多分僕が怖がらせようと思って“子供扱いされている!”と感じたのだろうか、「いないよ」と即座に答えた。

それを聞いて、ちょっとおいでと子供を膝に座らせた。

「パパもおばけはいないかもしれないと思う。でも、いるかもしれないと思った方が、おじいちゃんやあつこおばちゃんがいつも空からパパやみんなを見ていてくれると思った方が、うれしいし、心強い。だからパパはいると思って、毎朝おじいちゃんとあつこおばちゃんに手を合わせているんだよ」
そんなことを言ってみた。

子供は、また「そっか」と言った。
納得したようには見えなかったが、それでもいいだろう。
君の命は、受け継がれた命だ。
いつか君がそれに気がついてくれたらそれでいい。