子供は生きる。全力で。

大人は子供に「子供らしさ」を求める。
親になってみて、自分にもその傾向があることが分かった。
だが、自分の子供時代を思い出してみるとどうだっただろうか。親や周りの大人に子供らしさを求められるのは嫌いではなかったか(特に物心ついてからは)。 何か面白いことを言ったり特技を家族に披露した後、親戚の集まりなどで、「⚪︎⚪︎ちゃん、いつものあれ、みんなにやって見せてよ」などと言われたら、「晒し者にされてる」と子供だって察する。大人が喜ぶ「子供らしさ」は子供にしてみれば、見下されているのと同じだ。
子供は別に「自分は子供だ」と常日頃念頭に置いて振る舞っているわけではない。そんな子供がいたらそれこそ「子供らしく」ない。
子供は、もちろん大人ではないが、単に「年の若い人間」なのだ。能力は成人には足りないが、その時発揮できる全力で生きている。それは大人となんら変わりない。
子供を見て「子供はいいなあ」などと思う大人は、自分が子供の時に心で血の涙を流して悩んだことがあったことを忘れてしまっているのだ。