才能
これはもう一種の才能のようなものかもしれないが、何かを選ぶ時、たいてい「そっちじゃない方」を選んでしまう。
例えば、仕事が終わって帰宅する。家の前で鍵を取り出そうとして、鍵はコートの左右どちらかのポケットに入れていたことを思い出す。右だろうと思って右のポケットに手を入れると、入っていない。朝家を出る時に左に入れていたのだ。色々な場面でこういったことに遭遇する。
対策は簡単だ。自分がこっちだと思った方の反対を選べばいいのだ。
そんなふうに思っていた時期が僕にもあった。
だが、そんなに単純ではないのだ。
右だっけ?左だっけ?と試行錯誤し、右だと思うけど逆にしてみて左を選んでみる。
すると右が正しかったりするのだ。
このように、過程は関係なく、「僕が結果的に選んだ方」が間違っているのだ。
僕が、運命は変えられるという言葉が信用できないのもそのためだ。
単なる言葉の綾だが、変わったとしたら、その結果こそが運命だと思うからだ。
そそっかしさをこじらせると、このようにひねた人間になってしまうという話。