東京で

仕事で東京に来ている。四年以上ぶりだ。

今日は、せっかく東京来たので青山にあるMOTOに行った。店を出て次までかなり時間が空いたのでさあどうしようと思ったが、時間もあるし表参道から原宿駅まで歩いた。今日も人が多い。20代の頃は古着屋を目当てにこの辺をよく歩いていた。
表参道ヒルズの前を通りこれもせっかくなので入ってみたが、どうにも場違いな感じがしてトイレだけ借りてそそくさと出てきた。

そして足を棒にして次の予定の近くの喫茶店に入った。まだ一時間以上ある。若い頃もこんな感じだったな、と苦笑した。

茶店の窓から外を歩く人をボーッと見ている。しかしなんて人の多さだ。全然人が途切れない。この人たちはどこから来てどこに行くのだろう。もしかすると僕の視界の端まで来たら舞台の裏を通ってまた反対から歩いて来ているんじゃないだろうか、と思うぐらい人が途切れない。

しかし、当たり前のことだがこの視界にいる人たち一人一人がそれぞれの人生を生きている。あの人たち一人一人にとっては僕らが脇役であり、モブなのだ。通りを歩く人たちの誰か一人がふと横を向いて喫茶店の窓から見える僕らを見たら、「あの喫茶店にいる人たち、実は背景のセットの絵じゃないのか」と思うのかもしれない。

そんなことを考えている間も人は途切れず歩いている。
あと15分で待ち合わせ時間だ。
僕は僕の人生に戻ることにしよう。